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ジェルーシャと近づく (1)――ジェルーシャ・アボットと知り合いになるはじめての機会  The First Chance I've Ever Had to Get Acquainted with Jerusha Abbott [Daddy-Long-Legs]

いったん『あしながおじさん』の4年生の卒業間際まで行きながら、自分でも思い出せないくらい巧妙に(?)1年生に戻ってきてしまって、逆に、やれやれ、終わりはどこに、という気がしないでもない年度末です。

  1年生10月1日付の一連の手紙の最初の手紙(要するに本来の10月1日の手紙)の終わりのところ。――

     My room is on the northwest corner with two windows and a view.  After you've lived in a ward for eighteen years with twenty room-mates, it is restful to be alone.  This is the first chance I've ever had to get acquainted with Jerusha Abbott.  I think I'm going to like her.
      Do you think you are?
(わたしの部屋は北西の角にあって、ふたつの窓とよい眺めのある部屋です。20人もの〔とりあえず英語的には "twenty"  はしばしばアバウトに「たくさんの」「多数の」の意味〕ルームメートと18年間を同じ施設〔ward の洒落については、2月17日の「古い伝染病棟と新しい診療所 The Old Contagious Ward and the New Infirmary」を参照〕)の中で暮らしたあとでは、ひとりきりになるのは休まる感じです。これは、これまででわたしがジェルーシャ・アボットと知り合いになる〔ちかづく〕 (to get acquainted) はじめての機会です。彼女を好きになれるのではないかと思っています。
  あなたもそう思いますか?)

  一般論的にいうと、ひとりぐらしを始めることで、家族と離れ「個」としての自分と初めて向き合う、ということは大学1年生や、就職1年生などに多くあることかもしれません(えーと、ジュディーの場合、英語的というか、こないだの「彼と彼女、彼(女) He or She, S(he)」の流れでいうと、名前経由とはいえ、とりあえず「自分」を「彼女」と呼ぶような、自分ともうひとりの自分がいる意識)。だけど、もちろんジュディーが特殊なのは、家族をもたず、親きょうだいを知らずに、孤児院で生きてきたことです。それはひとりぐらしではなかったけれど、孤児院生活によって、親や家族ということを仮に抜きにしても(って、実はそれ――自分が帰属する (belong to) 場所――が一番大きい問題なのですが)、普通の女の子が享受するものを自分は与えられなかったというコンプレックスを彼女は強く持っています(もちろんそのコンプレックスは、大学が始まってすぐに高まったはずのものです)。ひとに語れない過去として、ほとんどトラウマみたいなものとして、物語の最後(の間際)までジュディーの想念を支配するのが孤児院出自です。

  ジェルーシャ・アボットという女の子が、自らジュディーというニックネーム (pet name) を公にし、その後の手紙でもジュディーをたいがいは書くようになるのは、このつぎの10月10日付の手紙の「2信」目の水曜日の手紙からです。

  そして、9月24日の、最初の手紙では、まだ大学は始まっていないけれど(リペット先生には学業の報告を求められていたわけです)と言って、つぎのように "to get acquainted" という同じフレーズを出していたのでした。――

College is the biggest, most bewildering place―I get lost whenver I leave my room.  I will write you  a descrption later when I'm feeling less muddled; also I will tell you about my lessons.  Classes don't begin until Monday morning, and this is Saturday night.  But I wanted to write a letter first just go get acquianted.  (Penguinc Classics 14)
(大学はまじ大きくて、とってもマゴマゴしちゃうところです――部屋を出たとたんに迷子になります。あとでもうちょっと頭がはっきりしたときに説明を書くつもりです。それから学課についてもそのときに。授業は月曜の午前まで始まりません。いまは土曜の夜です。でも、ただお近づきに〔知り合いに〕なるため手紙をさしあげたいと思いました。)

  とりあえず、この時点で確認されるのは、ジョン・スミス(といういかにも亀井いや仮名の人物)への接近 (to get acquainted) が、ジェルーシャ・アボット(この名前の由来についてはこの時点では確認できないけれど、親からもらった名前ではないということはうかがわれ、そして、すぐに明かされるように、リペットが適当につなぎ合わせて作った名前なのでした)への接近 (to get acquainted) とパラレルというか重ね合わせられている可能性です。要するにどっちもアイデンティティー不明のキャラがふたりそろったミステリーという感じ(ちょっと言い過ぎか)。

DaddyLong-Legs(Play)Act1.JPG
image: Jean Webster, Daddy Long-Legs: A Comedy in Four Acts [French's Standard Library Edition] (New York: Samuel French, 1922[?]) <http://www.archive.org/details/cu31924021717933>

  つづく~♪

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つづき――

ジェルーシャと近づく (2) To Get Acquainted with Jerusha Abbott (2)

ジェルーシャと近づく (3) To Get Acquainted with Jerusha Abbott (3)


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morichanの父

ゆとりOL さま、こんばんは~♪ 寒いですねー。不順な天候ですがご自愛ください。
by morichanの父 (2010-03-30 00:18) 

まりあん

超ご無沙汰してしまって,尚且つお正月のコメントを頂きつつマイブログにレスも付けられず済みませんm(_)m

実は年末大晦日にウチの小娘くんが亡くなりまして,マイブログもストップのまま次の更新見込みが立たない状態です。

まぁ初彼岸も済ませ新盆が過ぎれば,少しは落ち着くかと…

プロフィール機能も気が付けば無くなっちゃっていて,本当はコメント欄に書き込める内容じゃないんですが…

グルメ的な更新がでlきるかは未知数ですが,ぼちぼちと再開時期を見強めたいと思っています。

本当に春とは思えない寒~いこの頃,お互いに風邪など引かない様に過ごせたら良いですね^^

こちらの方のブログも読者になってますので,更新を楽しみにしていますYO♪
by まりあん (2010-03-30 10:33) 

morichanの父

まりあんさま、
まりあんとつぶやくとカリフォルニアの時間がよみがえってくるようです。

びっくりしました。
そうだったのですか。
なんといったらいいか・・・・・・
悲しいです。

お悔やみ申し上げます。
by morichanの父 (2010-03-30 19:31) 

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