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蔵書票 (1) Ex-Libris or Bookplates [モノ things]

新年おめでとうございます。

  暮れに事情があって、Internet Archive でフーケの『ウンディーネ』の19世紀の英訳本を眺めていたら、ハーヴァード大学所蔵本の、Read OnLine でトンでいくハーフタイトルのページ <http://www.archive.org/stream/undineandothert00mottgoog#page/n6/mode/2up> のから5ページ手前に、図書票か蔵書票が貼ってあるのが目に留まりました。――

undineandothert00mottgoog_0003.jpg
<http://www.archive.org/stream/undineandothert00mottgoog#page/n2/mode/2up>

  斜めになっていて頭が切れているのでよくわからないのですけれど、これは個人の Ex Libris 蔵書票ではなくて図書館の寄贈図書の書票でしょうか(まあ、どっちも英語だと "bookplate" でしょうけど、ラテン語の "ex libris" の「誰の蔵書(書斎・図書館)から」に戻って考えると、どの library なのか、ちょっと気にならなくはないです(つーかハーヴァード大学図書館とかどこにも書いてないから、個人のじゃないのに個人の蔵書票ですかねー。自分で「なんたらコレクション」(Art Story Collection)みたいな蔵書票つくるのかしら)。

  裸にした男女を顕微鏡でさらに探求するみたいな――プレパラートに挟まりません――アイデアなのか、ようわかりませんが、なにげにエロい。エロい蔵書票というのはそれはそれで歴史があるのでしょうけど。

  Winward Prescott (1886-1932) は、あー、そうか、ハーヴァード大学を1909年に卒業した、蔵書票コレクター、デザイナー、研究者です。ハーヴァードのホートン・ライブラリー Houghton Library にプレスコットのコレクションがあるようです――<http://blogs.law.harvard.edu/houghton/2009/11/20/winward-prescott-bookplate-collection/>。そうすると、ハーヴァードに個人蔵書も寄贈した可能性は高いですね。

  詳しくは知りませんでしたが、調べてみると著作として以下のようなものが見つかります(World Cat やAdd All など総動員)――

The Book-Plate Work of the Marquis von Bayros.  Boston: Privately Printed for W. R. A. Hays and W. Prescott, 1913.  [With William R. A. Hays] 

"Some Random Thoughts on Bookplate Literature."  A Bibliography of Book-Plate Literature.  Princeton: The American Bookplate Society [Princeton University Press], 1914.  Rpt. Cedar Rapids: Spokane Public Library [Torch Press], 1926.

Notes on Franz von Bayros and His Ex-libris.  London: Privately Printed for William R. A. Hayes and Winward Prescott, 1914.

Book-plate Literature.  Kansas City: H. Wilfred Fowler, 1914.  25pp. 

Some American College Bookplates: A Presentation of Plates, Old and New, Used by Educational Institutions, Individuals, Fraternities and Clubs, to Which Are Added Those of a Few Learned Societies.  Columbus: Champlin Press, 1915.

Masonic Bookplates.  Boston: Four Seas, 1918.  35pp. 

A List of Canadian Bookplates, with a Review of the History of the Ex Libris in the Dominion.  Boston & Toronto: Society of Bookplate Bibliophiles, 1919.  156pp.  [With Morley J. Ayearst and Stanley Harrod]

Bookplate Booklet Brochures.  Kansas City: Alfred Fowler, c.1921.  [With Stanley Harrod, James Guthrie, and Gardner Callahan Teall]

Bookplate Extra-Illustrating.  Sewanee, 1926.

The Modern Trend in Some Continental Ex Libris.  Sewanee, 1927.

Masonic Bookplates, Supplemented by a Decorative Check List of 586 Ex Libris of Masonic Interest.  Cedar Rapids: Masonic Bibliophiles, 1928.  [With J. Hugo Tatsch] 

The Decorative Quality in Heraldic Bookplates.  1930?  

How to Write Reports, Business, Engineering, and Architectural.  Cambridge, 1934.  [With William Anderson Crosby and Howard Russell Bartlett] 

  あー、疲れた。中で、1918年の Masonic Bookplates は例の Kessinger からファクシミリのリプリント版が出版されています。E-text もあるのだけれど、図版がみんな落ちていて、かつテクストもとんでいたりして、泣きたいくらいひどい―― <http://www.archive.org/stream/masonicbookplat00presgoog#page/n25/mode/2up>。

  Masonic はフリーメーソンの「石工」のメーソンです。 

  つづきます。

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"Winward Prescott Bookplate Collection," Houghton Library Blog <http://blogs.law.harvard.edu/houghton/2009/11/20/winward-prescott-bookplate-collection/> 〔ハーヴァード大学の Houghton Library のブログ 2009.11.20〕

Book-plate Literature.  Kansas City: H. Wilfred Fowler, 1914.  <http://openlibrary.org/books/OL13996967M/Book-plate_literature> 〔MSN @Internet Archive/Open Library〕 

Some American College Bookplates: A Presentation of Plates, Old and New, Used by Educational Institutions, Individuals, Fraternities and Clubs, to Which Are Added Those of a Few Learned Societies.  Columbus: Champlin Press, 1915.  <http://www.archive.org/details/someamericancol00presgoog> 〔Google @Internet Archive/Open Library〕

A List of Canadian bookplates with a review of the history of ex libris in the Dominion, ed.  Winward Prescott ; together with biographical and historical notes compiled by Stanley Harrod and Morley J. Ayearst ; illustrated with prints from the original coppers and blocks.  Published 1919 by Printed for the Society of Bookplate Bibliophiles in Boston.  <http://openlibrary.org/books/OL24388481M/A_list_of_Canadian_bookplates>  〔Internet Archive/Open Library〕


蔵書票 (2) Ex-Libris or Bookplates [モノ things]

承前

  ウィンウォード・プレスコット Winward Prescottt の『メーソンの蔵書票 Masonic Bookplates』 (1918) は、冒頭の記述を読むと、フリーメーソンの蔵書票というレアな蒐集領域についての過去の記事を参照しつつ、そこに自らのコレクションを加えてリストをまとめた、という主旨のようです。

Masonic Book-Plates are of course primarily interesting to members of the Craft who can understand the various signs and symbols appearing upon them.  Yet these plates are interesting to Book-Plate collectors in being among the rarest of Ex Libris specialties.  Two collectors have written on the subject―Robert Day in his "Masonic Book-Plates", (London, 1904), and A. W. Pope with "Remarks on some Masonic Book-Plates in America and their Owners", (Boston, Part I, 1908; Part II, 1911).  Yet combining the lists of plates in these two brochures and adding to them the plates in my own collection I can here list but a few over one hundred and seventy Masonic Ex Libris.  [Winward Prescott, Masonic Book-Plates (Boston: Four Seas Press, 1918), p. 9] <http://www.archive.org/stream/masonicbookplat00presgoog#page/n17/mode/2up> (訳検討中~)

  このあと、フリーメーソンの象徴(これについてはとりあえずウィキペディアの「フリーメイソン」を参照)についての解説が、図版に言及しつつつづきます。図版がたくさんある本かと思ったら、100を超える蔵書票のリストはリスト、図版は13葉です――

MasonicBookplates-TableofPlates.JPG

  2番目の "Supreme Council 33°" というのは 33rd degree、つまり最高位階の第33位階の最高会議(「最高法院」)ということです(徒弟 "(entered) APPRENTICE"―職人 "(fellow) CRAFTSMAN" ―親方 "MASTER (mason)" という三つの位階だけではなくて親方がさらにドンドコ上昇していくのはスコットランド系のフリーメーソンなどが典型ですけど、でも4から33というのは結局同じなのだから、3が基本なのだとか読んだ記憶があります――シュタイナーだったかしら)。この W. P. Barrett による蔵書票は、アメリカ人のAlbert Pike のフリーメーソン研究書に載っているので、どんなものかわかります。――

SupremeCouncil-bookplate.JPG

  Winward Prescott の他の著作でも秘密結社 (secret societies) への関心がうかがわれます。たとえばアメリカの大学の蔵書票の本の副題にフラタニティーが含まれているように―― Some American College Bookplates: A Presentation of Plates, Old and New, Used by Educational Institutions, Individuals, Fraternities and Clubs, to Which Are Added Those of a Few Learned Societies.  Columbus: Champlin Press, 1915.  <http://www.archive.org/details/someamericancol00presgoog>

   蔵書票収集家がしばしばそうであるように、プレスコットは蒐集だけでなくて自らオリジナルの蔵書票をこしらえています。そのなかで彼自身がフリーメーソンであることを示しているものがあります。――

bookplate-WinwardPrescott.jpg
image via Houghton Library Blog <http://blogs.law.harvard.edu/houghton/>

  右下の定規(カネ尺)にコンパス、Gマーク(グッドデザインのG ではなくてGod と Geometry のG ということです)はウィキペディアにも掲げられているように典型的なフリーメーソンのシンボルです。

  左上に ANAGKH と書かれているのはギリシア語で「アナンケー」、必然性、宿命、necessity みたいな意味(の女神の名)です。その下にあり、画像の中央にもある髑髏は、一般的には「死を忘れるな Memento mori」という、「時間」内存在たる人間の有限性を示すのでしょうけれど、以前「どくろ図――髑髏と交差骨 Jolly Roger: Skull and Crossbones [Daddy-Long-Legs] 」でたまたま書いたように、大学のフラタニティーがらみではイェール大学の Skull and Bones という組織の記章として有名です(名前どおりだしw)。

  プレスコットのいたハーヴァードはどうだったのかしら。ファイ・ベータ・カッパをはじめとする全国組織が複数共存するかたちだったのかなあ。

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American Society of Book Plate Collectors & Designers <http://www.bookplate.org/> 〔blog は Ex Libris Chronicle: The International Collector <http://exlibrischronicle.blogspot.com/>〕

日本書票協会 (The Nippon Exlibris Association)  <http://pws.prserv.net/jpinet.Exlibris/jpinet.exlibys/association.htm> 〔ポー研究者としても知られる内田市五郎さんを会長とする日本の団体〕

The Bookplate Society <http://www.bookplatesociety.org/> 〔国際組織〕

International Federation of Ex-libris Societies (FISAE) <http://www.fisae.org/> 〔国際組織〕

「フリーメイソン」 ウィキペディア <http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%82%BD%E3%83%B3>

"A Freemason's 33rd Degree Initiation" (Excerpt from Jim Shaw's Book: The Deadly Deception, pp. 99 - 109).  Illuminati: Conspiracy Archive <http://www.conspiracyarchive.com/NWO/33rd_Initiation.htm

      


イニシアル(イニシャル) (2) グーテンベルグ聖書 Initials (2) The Gutenberg Bible [モノ things]

新年おめでとうございます。

  師走の「イニシアル(イニシャル) (1) Initials」のつづきです。

  英語の initial はフランス語から入ったのでしょうけれど、もともとはラテン語の initiālis であり、さらには initium = beginning というラテン語が語幹となっているといえると思います。さらに分解すると、やっぱり "in" なのだから、「内へ」「中へ」、そして"ire" 「行く」ということで、「内へ行く」「中に入る」=「はじめる」ということかもしらんけど。直前の記事で秘密結社のことを書きましたけど、新参者=秘儀参入者は initiate ですね。素人の状態は uninitiated。

  ということで、年のはじめのためしにしめたとばかりにイニシアルからはじめようと思っておったのですけれど、19世紀の本の実例を探っている余裕がなくて、いっぽうグーテンベルグ関係のページを10ぐらい開いたままに年越しをしてしまいました。それで、IE が重い感じもするので、とりあえず活版印刷の最初といわれるグーテンベルグの本からつづきをはじめようと思い。

  英語のウィキペディアと日本語のウィキペディアの "Initial" と「イニシアル」がアサッテの方向を向いているのはヘンだと思います。人名の頭文字を initials と呼ぶのは事実ですし、いっぽう、英語のウィキペディアがもっぱら書いているように、古い写本で、そして近代の印刷本でも、パラグラフや文章の最初の文字 (initial letter = initial) を大きくして、しばしば装飾的なものとしたのでした。

  グーテンベルグの活版印刷による最初の記念碑的テクストは聖書でした。――

Gutenberg_bible_Old_Testament_Epistle_of_St_Jerome.jpg
image via Wikipedia "Gutenberg Bible" <http://en.wikipedia.org/wiki/Gutenberg_Bible> : "First page of the first volume: The Epistle of St. Jerome from the University of Texas copy. The page has 40 lines."

  日本語のウィキペディア「グーテンベルク聖書」には「グーテンベルク聖書は一見カラーに見えるが、本文そのものは黒色で単色印刷され、あとから飾り文字と飾り罫が手で書き加えられている」と書かれています。英語のウィキペディア "Gutenberg Bible" のほうが内容がちょっと濃いようですけど、"The first sheets were rubricated by being passed twice through the printing press, using black and then red ink. This was soon abandoned, with spaces being left for rubrication to be added by hand." (最初のほうのシートは、印刷機を2回通し、はじめに黒、つぎに赤のインクを用いることで、"rubricate" された。このやり方はすぐに放棄され、手書きで "rubrication" を加えるべく余白を残すことにした。) と書かれています。"rubrication" というのはヘッダーを色づけして強調することですけれど、もともと "rubrica" はラテン語の「赤」、"rubrico" はラテン語の「赤くする」ですから、朱字が本来です(錬金術の「赤の過程」のrubedo も同じ語源)。

  グーテンベルグ聖書についてのウンチクは、慶應の先生の本もありますけれど、久永光造という愛知県のお医者さんのページが細かくてリンクも豊富で楽しいです――『グーテンベルグ聖書』 <http://www4.ocn.ne.jp/~hisanaga/gutenberg.htm>。・・・・・・あ、なんか似た雰囲気を感じたと思ったら、「半分と四分の三 Half and Three-Quarter Bindings」で装丁について書いたときに触れたお医者さんでしたw。クリニックの周りには、110のプランターに美しい花が咲きほこっています。

  とりあえずウィキペディアの画像は40行で、それは最初期の印刷であって、のちには全ページ42行のものも出るわけですけれど、「イニシアル」が手書きによるもので、本によって異なるのは、同じ40行の大英図書館所蔵のものと比べてみると一目瞭然です。――

紙装とヴェラム装 <http://molcat1.bl.uk/treasures/gutenberg/search.asp> 〔右下の "Vellum copy" の枠の [Compare with paper with paper copy] の右をGO! それぞれ+で拡大可〕

  紙装のは最初のイニシアルの金ぴかの装飾 ("illumination" という)のみならずテクストを囲ってページの余白の枠全体に植物模様が書き込まれています。すばらすぃー。ヘッダーの赤字部分、紙のほうは手書きみたいですね。ヴェラムのほうは・・・・・・テクサス大学本のと微妙に字が違っていますけれど、直したようなあとが残っていて、なんなんでしょう。どれも手書きなのかしら。

  グーテンベルグ聖書はラテン語訳のウルガータを印刷したものですけれど、ウルガータをまとめた聖ヒエロニムス (St. Jerome, 345-420 羅 Eusebius Sophronius Hieronymus) が訳とともに遺した前文を写本は保存して10世紀以上にわたって伝えてきました。最初に載っているのがノラの司教パウリヌス (St. Paul [Paulinus] of Nola, 353-431) に宛てて書いた手紙で、グーテンベルグ聖書の最初に8章にわけられて載っているのでした。で、内容はおいといて、最初のところは Frater Ambrosius と書かれているようです。frater はフラタニティーのfrater で、= brother。アンブロシウスというのはヒエロニムス自身の兄弟というのではなくて、聖アンブロシウス (St. Ambrose, c.340-397) という、ヒエロニムスと並ぶラテン四大教父のひとりですか。父なる神に対して義兄弟ですか。

  ということで F ですな。F の長さがえらく違います。そしてつぎの文字の R も大文字になっていますね。

  で、とうぜんながら、印刷以前の手書きの写本から文字装飾やイニシアルや illumination や rubication の伝統はあったわけで、普通に考えれば、近代の本の印刷の歴史というのは高価な装飾・彩色本から黒インク一色で装飾を落とした大衆に開かれた安価本へと進んでいったわけでしょう。けれど、ウィリアム・モリスみたいな人は15、16世紀の印刷にならうことで手工業的な印刷術=芸術を復興させたのでした。たぶん。

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1月4日夜追記

テクスト Textus の頭の赤字のRublica の部分はたぶんこう書かれています(とりあえず上に載せた図版の文)。――

Incipit epistula sancti ieronimi ad
paulinum presbyterum de omnibus
diuinae histori[a]e libris - capitulum primi.

  ここに聖イエロニムスよりパウリヌス長老への手紙が始まる。聖なる歴史のすべてについて―第1章

ううむ。よくわかりまてん。


イニシアル(イニシャル) (3) 『ハックルベリー・フィンの冒険』 Initials (3) Adventures of Huckleberry Finn [モノ things]

以前テクスト & 装丁問題でとりあげた〔「ジーン・ウェブスターの父親による『ハックルベリー・フィンの冒険』の出版 The Publication of _Adventures of Huckleberry Finn_ by Charles L. Webster」、「チャールズ・L・ウェブスター社の『ハックルベリー・フィンの冒険』のちらしから本の装丁とかのはなしなど Flyers for Adventures of Huckleberry Finn」、あと久永内科の久永光造先生への言及がある「半分と四分の三 Half and Three-Quarter Bindings」〕、マーク・トウェインの『ハックルベリー・フィンの冒険』初版を、あらためてイニシアルの扱いという観点から眺めてみる。

  初版の挿絵を描いた E. W. Kemble は、モーリちゃんの父がせこせこ数えたところたぶん174葉のイラストを挿入していますけれど、全43章のすべての最初のページで、イニシアルを含めて挿絵を描くという凝ったことをやっています〔1月6日記 これまちがっていました。各章の最初のページで第何章という文字と一緒に挿絵を描いているのは事実ですが、すべてのページでイニシアルを手書きしているわけではない。訂正記事書きま~す⇒〕。精確な事情は知りませんけれど、たぶんケンブルのイラストの配置を決めてから印刷のテクストを組んだのだと思われます。

  前に載せた第1章の最初のページ――

AdventuresofHuckleberryFinn(American1st)17.jpg
Mark Twain, Adventures of Huckleberry Finn (New York: Charles L. Webster, 1885), p. 17  <http://www.archive.org/stream/adventureshuckle00twaiiala#page/16/mode/2up>

  そしてオックスフォード大学所蔵のイギリス版初版の某Google によるE-text――

[The]AdventuresofHuckleberryFinn(Chatto,1884)xvi,1.jpg
Mark Twain, The Adventures of Huckleberry Finn (London: Chatto and Windus, 1884), pp. xvi, 1 <http://www.archive.org/stream/adventureshuckl00unkngoog#page/n21/mode/2up>

  "YOU" が落ちてます。

  ちゃんとしたwイギリス初版の本文第1ページ――

TheAdventuresofHuckleberryfinn(B1).JPG

  イギリス版とアメリカ版では、テクストの組み版が異なることがわかります。1行目は "without you" まであるアメリカ版に対して、イギリス版は "with-" で終わっています。実際イギリス版は438ページあるのにアメリカ版は366ページでした。

  で、問題の、発話に始まる章のイニシアルの扱いです。

  ふたつしかないみたいなのですけれど、まず第7章――

AdventuresofHuckleberryFinn,Ch.7.jpg

   Git up! what you ’bout!”

  そして第11章――

AdventuresofHuckleberryFinn,Ch.11.jpg    

  “Come in,” says the woman, and I did.

  はい、こちらはちゃんとケンブルさんは引用符を書いているのでした。あと COME の OME のところがいわゆる small capital として大文字になっています。

  こんな感じ――

  COME in,” says the woman, and I did.

  文章の最初の1語ないし数語を大文字にするというのも古い習慣で、現在でも最初のパラグラフをインデント(字下げ)しない習慣と並んで、イギリスのほうに残っているといわれています。 

  とりあえず引用符に関して、このばらつきが、第7章のほうは章のあたまのイニシアルだから省略しちゃってもいいんじゃないみたいな意識から脱落が生じたものか、単に不注意なのか、そして11章では考えが変わってスモール・キャピタルの使用も含めてカチッとやってみたのか、単に気まぐれなのか、なんともわかりません。


マイ・ハックルベリー・フレンド―ムーン・リヴァー Moon River or My Huckleberry Friend [歌・詩 ]

たまたまトルーマン・カポーティー (Truman Capote, 1924-84)の『ティファニーで朝食を』 (Breakfast at Tiffany's, 1958; 映画 1961) を読みながらマーク・トウェインの『ハックルベリー・フィンの冒険』の挿し絵を眺めていたせいで、モーリちゃんの父の好きなオードリー・ヘップバーンの歌声が耳鳴りのように響いてきた正月でした。

BreakfastatTiffany's_poster.jpg

  ブログ『カリフォルニア時間』に載せた写真画像が、so-net photo の閉鎖によって悲惨な状態に陥っているのは1年前から気づいていましたが、いっぽうYou-Tube を中心にブログにリンクした動画もどんどん見られなくなっています(こっちは著作権がらみだからしょうがないところもあるのだけれど)。

  尊敬するセシリアさんが Tube だけじゃなくて MP3 をけっこう掲載するようになられたような気がする(といっても何年も前からかも)し、罪業滅消どころじゃないのもわかっていますけど、ためしにこそりとMP3を貼ってみたいと思いました。――

Hepburn,Audrey_atBreakfastatTiffany's.jpg"Moon River"
                                            w.  Johnny Mercer
                                            m.  Henry Mencini 

Moon River, wider than a mile,
I'm crossing you in style some day.
Oh, dream maker, you heart breaker,
Wherever you're going I'm going your way.

Two drifters off to see the world.
There's such a lot of world to see.
We're after the same rainbow's end―
Waiting round the bend,
My huckleberry friend,
Moon River, and me.

    改行、句読点など適当です。個人的には中学校のころに毎月レコードと一緒に配刊されるなんたらいう音楽雑誌で最初に英語の歌詞を見て、そのあとこの曲をテーマソングとしていたアンディー・ウィリアムズのミニアルバムみたいなレコード(18cmだけどLong-Playing なやつ)を買い、・・・・・・オードリーの映画や古いハリウッド映画を女友達と一緒にたくさんみたのは大学生になってからかなあ。彼女はジャズ・ヴォーカリストになりましたが。

Hepburn,Audrey_atBreakfastatTiffany's(1961).JPG

  "Moon River" は映画のためにつくられたオリジナル曲で、ホリー・ゴーブライトリー (Holly Gobrightly) まちがえてましたw ホリー・ゴーライトリー (Holly Golightly)〔2011.1.11記〕 役のヘップバーンに歌わせる歌詞の原案としては出だしのところ "I'm Holly, like I want to be / like Holly on a tree back home ..." (わたしはホリー、自分の好きなままの/故郷で木登りしていたホリーのままに) 〔よくわかりません。森の木の上の家で暮らす生活はカポーティの第二作『草の竪琴』 (The Grass Harp, 1951) に出てきます。あと『アラバマ物語』 (To Kill a Mockingbird, 1960) を書いたハーパー・リー (Harper Lee, 1926 - ) はカポーティの幼なじみで、主人公の女の子は木に登るのだけれど、自伝的なところがあって、アラバマ州モンローヴィルでのカポーティも投影されているみたいなことを読んだか聞いたかしたことがあります・・・・・・あー、登場人物のDill ですね、ウィキペディアに書いてありました。〕

  「私」は Moon River にむかって呼びかけていて、最後に「私のハックルベリー・フレンド」と呼ばれるのも川です。

  作詞のジョニー・マーサー (1909-76) はジョージア州の出身です。英語のウィキペディアの "Moon River" は、"my huckleberry friend" というのはマーク・トウェインのハックルベリー・フィンとは無関係で、もともとは "Blue River" というタイトルであったのが同名の曲があるのでタイトルを変更して歌詞から「青」のイメジャリーも落としたけれど "huckcleberry" は音の響きというか語感が気に入って残ったとかなんとか論理がよくわからない(ひとのことは言えませんが)薀蓄を傾けています。

  ミシシッピ川はカポーティーの生まれたニューオーリーンズを流れているけれど、ジョージアもアラバマも流れてはいません。でも幅1マイルの大河としてイメジされるのはミシシッピ以外にないでしょうし、南部つながりでハックを連想するほうが自然というものです(四苦八苦)。

  いちおうコトバ的には、"someone's huckleberry" = "someone's sweetheart, friend, or partner" という意味があります(OED)。歌詞のなかでは気持ち的にはやっぱり「幼なじみ」「まぶだち」という感じかしら。

  いちおうYT も貼っておいてみますw。

 

 

 


イニシアル(イニシャル) (4) 『ハック・フィン』の各章のはじまり Initials (4) [モノ things]

イニシアルは「モノ」なのか、悩ましいのですけれど、それはさておき、一昨日に貼った引用符入りの出だしを見ていて、なんかこれ手書きじゃないんじゃないか、と疑念が沸きました。ふつふつ。

拡大版をつくりました。――
Huckleberry,Ch.11L.JPG

  セリフのある字体です。セリフというのは台詞じゃなくて科白じゃなくて、文字のストロークの端に付けられたヒゲというか飾りというか楔(くさび)というか出っ張ったりくっついたりしている部分です(これがないのがサンセリフ)。――

Sans-serif_and_Serif-fonts.JPG
image: "Serif," Wikipedia <http://en.wikipedia.org/wiki/Serif>

  手書きでセリフを書くというのはありえないことではないです。けど、他の箇所の手書きの字と違いすぎるかも。というか、いろいろヴァラエティーをもたせているのかな、と最初は思っていたのですけど。ちょっと並べてみます。――

AdventuresofHuckleberryFinn,Ch.17.jpg

  In はサンセリフ。IN みたいに。あー、しかし Chapter という単語の文字は基本的にセリフなんですね。

AdventuresofHuckleberryFinn,Ch.18.jpg

  Co のCはセリフっぽいです。

AdventuresofHuckleberryFinn,ch.20.jpg

  THEYのTはセリフ。T みたいに(ちがうけど)。でも活字っぽくはなくていかにも手書きです。

AdventuresofHuckleberryFinn,Ch.25.jpg

AdventuresofHuckleberryFinn,Ch.28.jpg

AdventuresofHuckleberryFinn,Ch.41.jpg

AdventuresofHuckleberryFinn,Ch.7.jpg

  これは前に貼ったやつですけれど、CHAPTER XX という箇所のそれぞれの書き方も含めて、多様なデザインを試みているのですね。字体は必ずしも絵によって束縛されているとはいえないでしょう。

  そして、先の記事で、「初版の挿絵を描いた E. W. Kemble は、モーリちゃんの父がせこせこ数えたところたぶん174葉のイラストを挿入していますけれど、全43章のすべての最初のページで、イニシアルを含めて挿絵を描くという凝ったことをやっています」と書きましたけれど、すべての章で最初の文字のレタリングをやっているわけではなかったです。

  明確なのは第10章。――

Huckleberry,Ch.10L.JPG

  AFTER はセリフですけど、どうみても活字です。イニシアルが大きな字になっていないけれど、1語が大文字になっています。9章もやっぱり活字です。――

Huckleberry,Ch.9L.JPG

  I はセリフで、大きなイニシアルですけれど、手書きじゃないですね。で、順番が前後しますけれど、これが9章で、ひとつ上が10章、そしてつづく11章が "Come in," で始まる章だったのでした。

  ちなみにその次の12章はイニシアルは確かに手書きです。――

AdventuresofHuckleberryFinn,Ch.12.jpg

  イニシアルが活字と思われるのは、9、10、11章以外は33章。――

AdventuresofHuckleberryFinn,Ch.33.jpg

  ということで、発話で始まるふたつの章のうち、いっぽうは手書き(手描き)、もういっぽうは活字印刷というのが結論です(自信90パーセント)。もう一つの章の拡大図を載せます。――

Huckleberry,Ch.7L.JPG

  G の左上の二重のスジは引用符なのでしょうか。

Huckleberry,Ch.7LP.JPG

  ちがいますよね。ともあれ、木片を組み合わせてこしらえた趣きで、絵に不自然に溶け込んでいるのでした。この7章の凝った工夫と 11章のCはえらい落差があります。

  で、だとすると、引用符は出版社(ジーン・ウェブスターの父親のチャールズ・L・ウェブスター)の編集か印刷屋の判断ということになるのかと思います。それでも、9、11、33章は、活字のイニシアルを2行分の高さにするのが同じだとしても、いわゆる x-height (小文字のxの縦幅というか高さで、baseline と mean line のあいだの長さ。pとかq はbaseline の下に棒がはみでる (descender height) し、大文字とかf とかh とかは median を越えて x-height を上側にはみでることになります)の上に延びるか下に延びるかでヴァリエーションをこしらえていて、デザイン的な工夫があるように見えます(印刷屋の判断だけでは無理でしょう)。

  ところで11章のCはセンチュリーに似ているな、と思いましたけれど、センチュリーという字体(フォント)は1894年に雑誌の『センチュリー・マガジン』のからみでこしらえられたものだそうで、であるならば『ハック・フィン』の初版の出た1884-85年にはセンチュリー自体はなかったのでした。

C ←これがcentury

 

  


ワードニックとワードテック Wordnik and Wordtheque [辞書・辞典・事典類]

「女性作家の言祝ぎ A Celebration of Women Writers」で書いた、A Celebration of Women Writers の編集者であるペンシルヴェニア大学のメアリー・マーク・オッカーブルームさんは、Wordnik という辞書もこしらえていて、このあいだからときどき使っています。複数の辞書の定義が並んで、長めの用例文章がリンク付き(ない場合もある)で示されます。

  たとえば tin kitchen を引くと、つぎのページがあらわれます。――

  "tin kitchen - definition and meaning from Wordnik" <http://www.wordnik.com/words/tin%20kitchen>

  でも Definitions については "No definitions are available for tin kitchen." と表示されています。辞書には見つからないと。まあね。つーか、OED の用例にはあったわけですけれど、さすがにそんなところまではカヴァーしておらない(あ、記事書きそびれていました。書かねば・・・・・・とりあえず昔の記事)。

  でも便利なのは用例です。最初のページには3つ挙がっているだけですけど、Examples のラインの View all  をクリックすると、11例並んででてきます(all といっても全部出るわけでなくて最大11で、残り5個あり)。<http://www.wordnik.com/words/tin%20kitchen/examples>  『若草物語』から3つ入っていて、第二部でも出てくるのだとわかりました。コールドウェルの『タバコロード』の "toss out the twisted tin kitchen dishes and china doorknobs" は、なんかモノが違いますね。

  あと、検索結果のデフォールトが Definitions ですけど、横に "Thesaurus  ·  Examples  ·  Pronunciations  ·  Comments  ·  translate to: [select language]" と並んでいて、コメント欄は用例や注釈を呼びかけているので、参加型のところもあるらしい。

  えーと、定義がある単語をためしてみます。daddy-long-legs で引くと――

  "daddy-long-legs - definition and meaning from Wordnik" <http://www.wordnik.com/words/daddy-long-legs>

  "–noun   1. common misspelling of daddy longlegs." あ゛、"daddy longlegs" が正しくて、"daddy-long-legs" は「よくあるつづり間違い(ミススペリング)」だったのね。でもこのスペリングでの用例は挙がっています。

  "daddy longlegs" で引くと、ちゃんと辞書の記述を見ることができました。

  "daddy longlegs - definition and meaning from Wordnik" <http://www.wordnik.com/words/daddy%20longlegs>

Wordnik.JPG

  あとflickr の画像も並びます。

  しかし・・・・・・かんじんのジーン・ウェブスターの『あしながおじさん』はどこに? ふと思いついて "Daddy-Long-Legs" で検索したら、用例に出てきました、出てきました。<http://www.wordnik.com/words/Daddy-Long-Legs/examples>

   つまりハイフンの有無、大文字小文字などに sensitive なのですね。これはこれで使いようによっては便利かもしれない。

  Wordtheque というのは前世紀からあるサイトで、Logos という multilingual な企画のひとつです。Logos のほうは "The Dictionary" が別になっているので、もっぱら用例をコーパスから検索するのが Wordtheque の用途かしら。以前よく使っていたのですが、でも以前からどこにあるのかよくわからなかったのですが(w)、"Logos Library" というのがサイト名だったようです。

  Logos Library - Word by word multilingual library <http://www.logoslibrary.eu/pls/wordtc/new_wordtheque.main?lang=EN&source=search>

    説明――"Welcome to the Logos context search facility LOGOS LIBRARY. The LOGOS LIBRARY is a powerful interface with a massive database (currently 707.737.941 words) containing multilingual novels, technical literature and translated texts. Hits are highlighted in context windows that can be expanded up or down. To go to the source web pages (novels, etc.) click on the title - to run a dictionary search click on the highlighted word or phrase."

  検索は "word" となってるけれど、3語の並びまで入れられます。"daddy longlegs" "daddy-long-legs" "daddy-longlegs" など試してみると意外にというか悲しいくらいに少ない(ないし零)なのだけれど、ハイフンにsensitive でないことは確認されました。 "tin kitchen" はいくつも出てきます。昔は検索結果のURL が出てきたのに、いまはダメみたいなので、絵で貼ります。――

Wordtheque.JPG
LogosWordtheque.JPG

  5例しかないです。 Good Wives というのは『若草物語』の第二部の最初のタイトルです。

   文脈をくわしく読みたいときにダイレクトにパッセージにリンクしているので便利かもしれない。Wordnik のほうはそうではないので。

  よくいえばどちらも出前一長一短。しかし Wordnik のほうが伸びそうな気配がします。Wordtheque はなんかあんまり進化していないような。もっとコーパス増やせばいいのに。

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Wordnik: All the Words <http://www.wordnik.com/> 〔ここで dictionary と thesaurus の選択があるのですね〕
Wordnikisaddaxchalumeauecclesiarch
gorgeousnessthemosticonoclasmkip
ombrophoboushamcomprehensivedictionary
quesadillasaddlebacktautogeneityin
theknownuniversevodkawanderlust

[Wordtheque] Logos Library <http://www.logoslibrary.eu/pls/wordtc/new_wordtheque.main?lang=en&source=search>

 

Logos - Multilingual Translation Services <http://www.logos.it/about_logos/index.html> 〔Logos のindex page〕

Logos - Multilingual Translation Portal <http://www.logos.it/> 〔こっちがホームかも。こちらには logos library のリンクがあります〕


アシナガオジサンとハエ The Daddy Long-legs and the Fly [Marginalia 余白に]

Wordnik 〔いちおー「ワードニックとワードテック Wordnik and Wordtheque 」参照〕 で daddy-long-legs, daddy longlegs, Daddy-Long-Legs などくりかえし引い(検索し)たおかげで、しばらく記事を書かなかった『あしながおじさん』に思いが募った正月八日です。

  エドワード・リア (Edward Lear, 1812-88) が "The Daddy Long-legs and the Fly" という nonsense poem を書いていることを知りませんでした。「ノンセンス」というカタカナ日本語が、高橋康也さんの『ノンセンス大全』 (晶文社, 1977) と高山宏訳『ノンセンスの文学』 (河出書房新社,1980) 〔Elizabeth Sewell, The Field of Nonsense (Chatto,1952)の訳〕以来イギリス文学方面では固まっていたかと思いきや、2003年に出ていた柳瀬尚紀訳のエドワード・リア『ナンセンスの絵本』(岩波書店) は「ナンセンス」になってました。ま、ナンセンスのほうがフツーですけど。

  ウィキメディア・コモンズの Edward Lear の項目にはリアが描いたハエとアシナガオジサンが2葉載っています。――

Edward_Lear_The_Daddy_Long-Legs_and_the_Fly.jpg

Edward_Lear_The_Daddy_Long-Legs_and_the_Fly_2.jpg

 

  テクストの歴史はよくわかりませんけれど、単行本としては最初は1871年に出た次の本に収められていたようです。――

☆Edward Lear.  Nonsense Songs, Stories, Botany, and Alphabets.  Boston: James R. Osgood, 1871.  <http://www.archive.org/stream/nonsensesongsst00leargoog#page/n8/mode/2up>  PP. おー、ページ番号なしだ、数えてPp. 10-14

Lear,Edward_NonsenseSongs(Boston,1871).JPG

出版社の名前聞いたことある、と思ったらボストンかよ! と思ったら、同年にちゃんとイギリスで出版されていました。――

☆Edward Lear.  Nonsense Songs, Stories, Botany, and Alphabets.  London: Robert John Bush, 1871.  <http://www.archive.org/stream/nonsensesongsst02leargoog#page/n4/mode/2up> 〔と思ったら、でも残念ながらこれの少なくとも Read online は不全。ナンセンス!〕
Lear,Edward_NonsenseSongs(London,1871).JPG

☆同、1872年増刷 <http://www.archive.org/stream/nonsensesongsst01leargoog#page/n14/mode/2up>  Pp. 10-14

nonsensesongsst00leargoog_0023.jpg

  オー (O)、3行抜きのイニシアル♪  〔でもこっちも14-15ページの挿絵が消えてますね。14ページの下に、船に乗る蚊、いやハエとザトウイチ、いやガガンボの図があるわけですけど〕

☆Project Gutenberg は、1894年のリプリント版に依拠した旨きちんと注記したうえでE-text をこしらえていました。オリジナルの挿絵つきです。―― <http://ia700307.us.archive.org/35/items/nonsensesong13647gut/13647-h/13647-h.htm> 依拠したテクストは、Boston: Roberts Brothers, 1894 でした。ロバーツというのは『若草物語』の出版社ですね。

☆アメリカでは19世紀末の1899年にボストンの別の出版社 Little, Brown から Nonsense Songs and Laughable Limericks というタイトルの本が出版され、コピーライトのページには Roberts Brothers 1888/ Little Brown, 1899 と記載されています。 <http://www.archive.org/stream/nonsensesongslau00lear#page/n5/mode/2up>  37pp+38pp.  三つ目の詩。ツーか、この本はページナンバーが入っていますけど、合冊みたいになっています。14-17ページ。組版が異なっていますね、明らかに。

EdwardLear,NonsenseBooks(Boston,1888).JPG

☆1910年、ロンドンでリア自身のイラストをはずして L. Leslie Brooke の挿絵を入れた本が出ています。――Nonsense Songs.  London: Frederick Warne, 1910.  12番目に入っています。タイトル、 "The Daddy Long-Legs and the Fly" になっています。画家のLeslie Brooke をフィーチャーしたシリーズ本が出ていたのでした。<http://www.archive.org/stream/nonsensesongs00lear2#page/n7/mode/2up>

DaddyLong-LegsandtheFly,L. Leslie Brooke(1910).jpg

 

☆エドワード・リア・ホームページというのがあって、挿絵つきで掲載しています。<http://www.nonsenselit.org/Lear/ns/dll.html>

    えーと、なにが言いたかったのかと言うと、何が特に言いたかったというのでもなく、すべて書いたことを言いたかったということかもしれませんが、とりあえず、イギリスの daddy long-legs はクモの親戚のザトウムシではなくて羽の生えた6本足の昆虫のガガンボ(カガンボ)だ、ということです。

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Works by Edward Lear @ Project Gutenberg

Edward Lear Home Page @ nonsenselit.org


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