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決定機 Decisive Chance [雑感]

オーストラリア戦を終えた沢穂希キャプテンが、「決定機が前半に何度かあったけれど、決められなくて厳しい流れになりました。でも最後に川澄がしっかり決めてくれてよかったです」とコメントしているのをテレビで観ていて、ちょっとショックを受けた。「ケッテイキ」と耳に聞こえたときに決定機?・期?と目をテレビに向けると、「決定機」と字幕が出ていた。

  こんなコトバを聞いたのは初めてだったのだけれど、調べてみると、2008年くらいからはけっこうみんなWEB空間では使っているみたいだし、少なくともWEBジャーナリズムも使っているみたい。そして、「決定機」は「決定的機会」をつづめたものかなー、と両方を重ねて検索したら、両方を同一の文章内で使っているものがある程度見つかり、なるほどなーと思った。

  広辞苑など国語辞典を引いても「決定機」などという言葉はなく、いっぽうインターネットでは、ウィキペディアにはドラえもんの道具として「コース決定機」というのしかなく、あとは雑多な記事しかみつからなかった。

  こういうときにアメリカだったら(英語だったら)、Urban Dictionary みたいな(「November 13 都会的辞典 Urban Dictionary ――イーハー、イーホー、イーハウ Yeeha, Yeehaw のつづき [ことば Words]」参照)、いいかげんだけどナウい現代語辞典があってよいのだが。

  しかし、検索を絞っていくなかで、2006年という早い時期に twilightmoon99 さんが「キテレツな日本語」という題で、「ケッテーキ」という言葉への嫌悪を示しているブログを見つけた―― <http://d.hatena.ne.jp/twilightmoon99/20060506> 〔『朧月を愛でながら』 2006.5.6〕

  えっとー、全文引いちゃってよかですか――

 今日サッカーテレビ番組を見ててイヤ~な言葉を聞いた。その言葉とは…

「ケッテーキ」

 今はまったく使ってないブログで書いたことがあるんだけど…… はてなでも改めて書いておこう。

 この「ケッテーキ」、漢字を宛てれば「決定機」なんだろうが、これは、新聞用語じゃないのか? 限られたスペースにできるだけ多くの情報を入れるために、新聞が苦肉の策で使っている言葉ではないか?!

 それを、喜んで放送に使う、NHKTBSのバカアナ。

 耳で「ケッテーキ」という音を聞いて、「決定的チャンス」「決定的機会」を思い浮かべるやつが、一体どれだけいるっていうんだ? そんなことも考えず、知ってて当然と言わんばかりに、視聴者に向け「ケッテーキ」を強いる。

 しかもそれを、シャベリで情報を分かりやすく伝えることが使命であるはずの放送アナウンサーが、ハズカシイことだとは思っていないのだ。

 この〝下〟ない低レベル…かくいわざるべけんや!

  大いに賛同です。

  実はかねて、サッカーの実況でやたら耳にする「決定的」というコトバ(こっちのほうはかなり前から耳についていた)に首をかしげることが多かった。言葉はちがうけれど、類推的に考えるなら、「致命的」というのは英語だと fatal だけど、 She was fatally hit by the train.  (直訳=「彼女は致命的に列車にはねられた」) と言えば、死んでいる(つまり She was hit by the train and she died. と同じ情報なのだが、死んだという結果を副詞で示して文を引き締めるスタイル)のであって、「致命的な」ものは命を落とすものなのである。決定的だったら、決定しているのだ。なんで決定していないのに決定的と呼ぶのかしら。それもゴールできないときに限って(すなわち決定しないときに限って)「決定的でした」と実況者は呼ぶのである。

  まあ、もっとも、ファム・ファタールは「致命の女」ではなくて「運命の女」とか「宿命の女」と訳されるし、それはまちがいではないかもしれず、相手(男)が死ぬわけではないけれど。それとも比喩的には死んじゃうのかしら。「決定的」もヒユと考えれば許せるのだろうか――「ケッテイ~(キンチャンふうに)なーんちゃって」、みたいな。「的」でごまかすみたいな。

  で、よくわからんけど、「決定的機会(でした)」が (A) 「決定機(でした)」になり、いっぽう (B) 「決定的(でした)」に変化した、あるいは文法分類的には、(A)(名詞)「決定機」、(B)(形容(動)詞)「決定的」に変容したのか、と夢想してみる。

  でも "decisive chance" という英語に置き換えて検索すると、けっこうな数がヒットするのでした。

  で、英語に戻ってよく考えてみれば、その場合の「決定的」というのは――グーグルの27000のヒットの多くは必ずしもスポーツ関係ではないのだが、競技でいえば――試合の勝敗を決する(あるいは、少なくとも決めかねない)、勝利の結果を明確にする、という意味での decisive なのであった。(たぶん。少なくとも本来は。)

  なんにしてもワケノワカラナイ・アイマイナ日本語であるのは確かであると思われ。


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