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失われた青春の時 Her Lost Youth [When Patty]

前に「『おちゃめなパッティ大学へ行く』のエピグラフについて Epigraph to _When Patty Went to College_」を書いたときに、内田訳に添えられているモーリス・ブショールの詩「リラの時とバラの時」について、以下のように書いて少し保留にしていました。

  「愛の死」ですから、リラとバラの時はわたしたちの恋(愛)とともに死ぬ(最終連――"Le temps des lilas et le temps des roses/ Avec notre amour est mort à jamais.")、という詩であります。いちおう謎のエピグラフなのですけれど、なにを考えていたのでしょうねー。青春時代の喪失なのでしょうか。いやだわー。

    この問題についてはちょっと考えてみようと思います。

  で、読みきっていなかった、このジーン・ウェブスターの大学卒業後に初めてまとめた作品を読んでずっと春のあいだ考えていました。

  『パティーが大学生だったとき』の最終章(最終話「パティーと司教 Patty and the Bishop」)で、日曜の礼拝をサボってキャンパスの裏手を散策するパティーは、もうすぐ大学生活が終わることで、人生と時間について感傷的なもの思いにふけります。――

Her eyes wandered back to the campus again, and she suddenly grew sober as the thought swept over her that in a few weeks more it would be hers no longer.  This happy, irresponsible community life, which had come to be the only natural way of living, was suddenly at an end.  She remembered the first day of being a freshman, when everything but herself had looked so big, and she had thought desperately, "Four years of this!"  It had seemed like an eternity; and now that it was over it seemed like a minute.  She wanted to clutch the present and hold it fast. It was a terrible thing—this growing old.
(さまようようなパティーの目はふたたびキャンパスに戻った。数週間もしたら自分のものではなくなる、という思いに襲われて、ふいに気持ちはさめた。この幸せな、責任のない、共同体の生活は、自分の唯一の自然な生き方になってしまっていたが、ふいに終わりを告げる。彼女は新入生になった第一日目を思い出した。自分以外のなにもかもがあまりに大きく見え、「これが四年間も!」と自暴自棄に思ったのだった。永遠と思えたのだが、過ぎてみると一瞬のように思われた。現在をつかまえて、しっかりにぎっていたかった。おそろしいことだ――この年とっていくということは。)

  秋の新学期を待たずに、学友たち〔女子大です〕に別れを告げねばならない。この世の中でゆいいつ心を許しあえる友人たち。いつか男の人たちと知り合いになって、誰かひとりと結婚するのだろう。「そして何もかも終わる」("and then all would be over")。気がついたときには老婦人になっていて、孫たちに娘時代の話をするのだろう。と、パティーは「失われた青春にあやうく涙をこぼしそうになりながら」 (almost on the verge of tears over her lost youth) キャンパスを見下ろします。するとそこへ説教をすませてきた牧師がやってきて、ふたりは木の下のいすに腰を下ろして話をします。

IHaveJustRunAwayfromYou,BisishopCopeley(WhenPattyWenttoCollege).jpg
I have just run away from you, Bishop Copeley (When Patty Went to College 266)

  牧師は、若いころは他人にどう言われようと気にはならないかもしれないが、年をとったらちがう、と言います。「歳というのは気がつかないうちに忍び寄る」 ("Age slips upon you before you realize it")。「あなたは、じき30になる。そして40になり、そして50になる」 (You will soon be thirty, and then forty, and then fifty.")。そんな年齢になっても言いのがれやごまかしを言っている女性に魅力があるだろうか、と牧師は言い、つぎの教訓をパティーに与えます。――

"You must remember that you cannot form your character in a moment, my dear.  Character is a plant of slow growth, and the seeds must be planted early." (「覚えておくがいい、お嬢さん。人格は一瞬にして形成されるものではないのだよ。人格というのは生長の遅い植物で、種は早くまかれねばならないんだ。」

  この教訓をパティーは持ち帰って、友人たちにむかって反復します。別のメンツに2回もです。その反復はコッケイなところがあって、(読者の)笑いを誘うのですが、パティー本人は神妙なところもあり、マジメなのかフザケテいるのか、よくわからないところがあります。とりわけ、これで物語は閉じてしまうので。

  ところで、植物のヒユが現われていることは確かです。そしてそれは時間についての思索と一緒に。で、それは、恋愛はともかく、若さというのは大学生時代、青春時代だけではない、ということを逆に語っているような気がしました。


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morichanの父

kaoru さま、ゆとりOL さま、couple さま、いつもご訪問とnice をどうもありがとうございます。
by morichanの父 (2010-03-26 18:24) 

morichanの父

(た)さま、どうもありがとうございました。
by morichanの父 (2010-04-15 20:54) 

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