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大天使ミカエルのこと The Archangel Michael [Marginalia 余白に]

『あしながおじさん』1年生10月10日の手紙の冒頭。――

     Did you ever hear of Michael Angelo?
     He was a famous artist who lived in Italy in the Middle Ages.  Everybody in English Literature seemed to know about him, and the whole class laughed because I thought he was an archangel.  He sounds like an archangel, doesn't he?   (Penguin Classics 16)
(ミケル・アンジェロってお聞きになったことありますか?
  中世にイタリアに住んでいた有名な芸術家です。英文学のクラスに出ているひとは、みんなこのひとのことを知っているらしくて、わたしが大天使だと思ったというのでクラス全部が笑いました。彼って大天使みたいに聞こえるでしょ? 

  英語の Michael Angelo あるいは Michelangelo の発音は、「舞妓安寿郎」、いや「マイコゥアンジェロウ」みたいなものでしょうが、日本語ウィキペディアの「ミケランジェロ」の記述を信じれば、そもそも、「名前はミカエル(Michael)と天使(angelo)を併せたもの」でした。そのときのMichael が大天使の名前としてなのか、人名としてなのか、結局同じことなのか、はわかりませんが、ジュディーが「大天使みたい」といっているのは、大天使ミカエル+エンジェルとというふうに、ダブルで耳に響いてきたからにほかなりません。(書きそびれましたが、これは2月10日の記事「マイケル・アンジェローとミケランジェロ Michael Angelo or Michelangelo [Daddy-Long-Legs]」のつづきです。)

  大天使 archangels については、数がいくつだ(「三大天使」「四大天使」「七大天使」)とか宗派・宗教による違いとか、ウィキペディアが薀蓄を傾けているし、ほかのサイトでも薀蓄が傾けられているので、それを参照していただけばよいのですが、中心となる三大天使についてかいつまんでいうと、洗礼者ヨハネの誕生を告げたりマリアに受胎告知 (Annunciation) するのがガブリエル(そういう点では天使の原義の "messenger" の役まわりですけれど、伝統的に、終末を告げるラッパを鳴らすのもガブリエルだとされています ("Gabriel's horn [trumpet]"))、そして旧約の「ダニエル書」ではイスラエルの守護者としてあらわれ、新約の「黙示録」で天使軍を率いて赤い竜と戦うとされるのがミカエル(だからミカエルは軍人の守護者になっている)、そして旧約聖書外典(カトリックでは正典)の「トビト書 The Book of Tobit [Tobias]」に描かれる、人間の姿をしてトビトの息子のトビアスの旅に犬と一緒に同行し、父トビトの目を治したり、悪魔 asmodeus に憑りつかれた花嫁のサラを救ったりするのがラファエロです(このラファエロはイスラム教ではイズラフェル Israfel にあたるとされますが、イズラフェルというのはあのエドガー・アラン・ポーのあだ名になっている、音楽をつかさどる天使で、やっぱり世の終末に最後の審判の裁きを知らせるラッパを吹く役回りももっています)。あ、かいつままないで薀蓄を傾けてしまいましたw。

  ラファエルとトビアス(と犬)を描いた絵を多数添えて物語を語る記述が英語のウィキペディア "The Book of Tobit" にあります。魚釣りの絵とか悪魔退治の絵とかあって楽しいです。

  そして、ラファエロがトビト書にしか出てこないからか、ミカエルとガブリエルも友情出演(?)するモチーフも絵画にはあります。――

FraFilippoLippi_ThreeArchangelsandtheYoungTobias.jpg
Fra' Filippo Lippi (1406-69), The Three Archangels and the Young Tobias

  左から、ミカエル、犬、ラファエル、トビアス、ガブリエル。

DomenicoDiMichelino(1417-91)_TheThreeArchangelsandTobias.jpg
Domenico De Michellino (1417-91), Tobias and the Three Archangels

    左端の、なべを兜代わりにかぶっているのがミカエルです。つぎはラファエル、つぎはトビアス、手前に犬、手に釣った魚(これで薬をこしらえる)、そしてガブリエル。

FrancescoBotticini(1446-97)_TobiasandtheThreeArchangels(c1470).jpg
Francesco Botticini (1446-97), Tobias and the Three Archangels (c. 1470)

   左から、すかしたミカエル、犬、ラファエル、トビアス、そしてちょっとやる気のなさそうなガブリエル。この、ボッティチーニの絵で、左端の剣と玉をもっているミカエルのモデルはレオナルド・ダヴィンチだということになっています。

  剣をふるった、勇猛なミカエルの図は多いです。一番有名なのはグイド・レニの絵かも――

GudeReni_TheArchangelMichael(c.1636).jpg
Guideo Reni 〔2010.9.9訂正〕(1575-1642), The Archangel Michael (c. 1636)

  ミカエルは竜とか堕天使とか悪魔とか踏みつけにします。ムカデを踏んでる絵はみつかりませんが。

  いっぽう、ジャンヌ・ダルクの夢にあらわれたのがミカエルだということになっています。これがなかなかおもしろいです。

EugineThirion_AppearanceofArchangelSaintMichaeltoJoanofArc(c1876).jpg
Eugine Thirioin, Appearance of Archangel Saint Michael to Joan of Arc (c. 1876)

JulesBastien-LePage_JoanofArc.jpg
Jules Bastien-Lepage (1848-84), Joan of Arc 

    このバスチアン=ルパージュは、はい、ジュディーが読む『マリ・バシュキルツェフの日記』を書いた女流画家マリが恋していた画家です(記事「マリ・バシュキルツェフの日記 Marie Bashkirtseff's Journal」など参照)。ミカエルは半分透明みたいな霊的存在として描かれているように見えます。

JoanofArc'sVision(Harpers,1895).jpg
Joan of Arc's Vision (Harpers, 1895)

 

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「大天使」 Wikipedia <http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E5%A4%A9%E4%BD%BF#.E3.82.AD.E3.83.AA.E3.82.B9.E3.83.88.E6.95.99.E3.81.AB.E3.81.8A.E3.81.91.E3.82.8B.E5.A4.A7.E5.A4.A9.E4.BD.BF>

「天使の一覧」 Wikipedia <http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A9%E4%BD%BF%E3%81%AE%E4%B8%80%E8%A6%A7>

「ミカエル」 Wikipedia <http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%82%AB%E3%82%A8%E3%83%AB>

「ラファエル」 Wikipedia <http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A8%E3%83%AB>

「ガブリエル」 Wikipedia <http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AC%E3%83%96%E3%83%AA%E3%82%A8%E3%83%AB>

Fra Filippo Lippi - The Complete Works <http://www.frafilippolippi.org/>

Edgar Allan Poe, "Israfel" audio@ AudioPoetry <http://www.archive.org/details/audio_poetry_50_2006>

Hervey Allen, Israfel: The Life and Times of Edgar Allan Poe (New York: George H. Doran, 1927), Vol. I  etext@ Internet Archive <http://www.archive.org/stream/israfelthelifean006580mbp#page/n11/mode/2up>

Hervey Allen, Israfel: The Life and Times of Edgar Allan Poe (New York: George H. Doran, 1927), Vol. II  etext@ Internet Archive <http://www.archive.org/stream/israfelthelifean006456mbp#page/n9/mode/2up>

The Book of Tobit: A Chaldee Text from a Unique MS. in the Bodleian Library, with Other Rabbinical Texts, English Translations, and the Itala.  Ed. Adolf Neubauer.  (Oxford at the Clarendon Press, 1878) <http://www.archive.org/stream/israfelthelifean006456mbp#page/n9/mode/2up>

"Book of Tobit (Tobias)" audio@ LibriVox <http://www.archive.org/details/tobit_ss_librivox>

 

 

 


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morichanの父

kaoru さんこんばんは~。ご訪問ありがとうございます。
by morichanの父 (2010-02-16 18:28) 

NO NAME

Wow this is a great resource.. I’m enjoying it.. good article
by NO NAME (2010-04-22 11:23) 

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