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子らよ My Chillun [Marginalia 余白に]

ある事情があって、ルイーザ・メイ・オルコットのいわゆる処女小説気まぐれ Moods』 (初版1864; 第2版1882)をパラパラ見ていたのですが、2版の序文でオルコットが自作を「子供」と呼んでいるのが目にとまりました。そのこと自体はめずらしいことではないのですけれど、記事「ガス・ハウス Gas House」と「本葬・・・・・・本の火葬 Cremation of Books as Bodies」で『あしながおじさん』のジュディーの本の産みの親的ふるまいを書いたので、なんか気になって・・・・・・こういう気になりかたの処理(メモ etc)って、タイミングと勢いがあって、おそらくブログを書く前は、そのままほうっておいたことかもしれません。

Alcott,Moods(1882)Preface.JPG
Alcott,Moods(1882)Preface-.JPG

  ( 『気まぐれ』が最初に出版されたときというのは、書かれてから何年か過ぎていたため、出版社の嗜好と都合にあうように改変がなされたので、その結果、物語の元々の目的が見失われ、主題として、徳義(principle)ではなく衝動に導かれた気まぐれな性質の誤りにかわって、結婚がおもてに出ていました。結婚という主題については18歳の少女はわずかしか知らず、気まぐれについてはたいていの少女が多くを知っているのです。そして、私の読者のなかで少女たちだけがこの本の真の目的を、本の多くの短所にもかかわらず見抜いて、私にそのことの礼を言ってくれてきたのでした。
  少女の直観と想像力が感じ、述べようとしたものの正しさを、大人の女の観察と経験は保証してくれましたので、私は、私の最初の小説を、その欠点はそのままに、それよりは成功した妹たちのなかまに場所を与えたいと願っています。この本には、その後の本が持っていない愛と労苦と情熱がこめられていたのですから。
  いくつかの章が省かれ、もともとあったいくつかの章が復元されています。そして、残ったものについては、このささやかなロマンスの若々しい精神を壊さないでできるかぎり余分な文章を切り取りました。18歳では、死はシルヴィアの難局の唯一の解決と思われました。しかし30年後、失意ののちに幸福をみいだし、愛と義務に手と手を携えさせる可能性を学び、私のヒロインは、前の版よりもロマンティックではないかもしれないけれどもより賢明な運命に向かいあうのです。
  若い人たちがこの改訂を受け入れてくださることを、そして、年長のかたがたが、不運な子供をこそ最もいとおしいものとする母性本能に同情を寄せててくださることを希望して、私は、私の初生児 (first-born) を、私のその後の子供たち (off-spring) を親切に歓迎してくれた公衆に再紹介いたします。
                                L・M・オールコット

    コンコード  1882年1月)

    よくわからんのが、終わりから2番目の段落の "At eighteen" と "thirty years later" のところです。この序文だけ読むと、30年前、つまり、1832年生まれで、この第2版が出た年に50歳になる作家が、30年前の10代のころの若書きの処女長篇について、自分の人生の経験とあわせて語っているように見えます。けれども、『気まぐれ』の草稿の執筆は1860年の5月に始められたということが年譜から確認されますし、書き終わった8月の日記では「4週間のあいだ日中ずっと書き、夜もほとんど一晩中考えていた」と書いています。出版は、確かに数年の間があいて、1864年暮れでした(Boston, 1865)。

  18歳というのは最初の段落にも出てきて、これはヒロインSylvia について言っているのかとも思ったのですけれど、――第3章でシルヴィアは18歳だけれど、4月生まれの彼女は話のおわりのほうでは21歳になっていると思うし、いや、そもそも終わりから2番目の段落と関係しているのだとすれば、これはやっぱり作家自身のことかと。それとも作家と、ヒロインが、あるいは作品がシンクロしちゃっているのでしょうか。

  謎をはらみつつ、謎解決のめどもたたぬままつづく~♪

 ///////////////////////////////

初版のリプリントのE-text
Louisa May Alcott, Moods (Boston: Loring, 1864)
<http://www.archive.org/details/moodslouisaalcot00alcorich>

WS000322.JPG
Moods 初版 (Boston: Loring, 1864) の(リプリントの)扉絵 <http://www.archive.org/texts/flipbook/flippy.php?id=moodslouisaalcot00alcorich>

第2版のE-text
Louisa May Alcott, Moods: A Novel (Boston: Roberts Brothers, 1882)
<http://www.archive.org/details/moodsnovel00alcorich>


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