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スティーヴンソンの最初の言及 The First Mention of R. L. S. [Daddy-Long-Legs]

直前の記事で書いたように、『あしながおじさん』でスティーヴンソンが言及されるのは、1年生の初めのころ、12月19日の手紙でした。その手紙では、特にスティーヴンソンについて語っているのではなく、普通の女の子たちが自然に吸収して知っているものをいかに自分が知らないか、というリストのなかに出てくるのでした。――

     I have a new unbreakable rule: never, never to study at night no matter how many written reviews 〔復習課題〕are coming in the morning.  Instead, I read just plain books―I have to, you know, because there are eighteen blank years behind me.  You wouldn't believe, Daddy, what an abyss of ignorance my mind is; I am just realizing the depths myself.  The things that most girls with a properly assorted family and a home and friends and a library know by absorption, I have never heard of.  For example:
     I never read "Mother Goose" or "David Copperfield" or "Ivanhoe" or "Cinderella" or "Blue Beard" or "Robinson Crusoe" or "Jane Eyre" or "Alice in Wonderland" or a word of Rudyard Kipling.  I didn't know that Henry the Eighth was married more than once or that Shelley was a poet.  I didn't know that people used to be monkeys and that the Garden of Eden was a beautiful myth.  I didn't know that R. L. S. stood for Robert Louis Stevenson or that George Eliot was a lady.  I had never seen a picture of the "Mona Lisa" and (it's true but you won't believe it) I had never heard of Sherlock Holmes.
     Now, I know all of these things and a lot of others besides, but you can see how much I need to catch up.  And oh, but it's fun!  I look forward all day to evening, and then I put an "engaged" on the door and get into my nice red bath robe and furry slippers and pile all the cushions behind me on the couch and light the brass student lamp at my elbow, and read and read and read.  One book isn't enough.  I have four going at once.  Just now, they're Tennyson's poems and "Vanity Fair" and Kipling's "Plain Tales" and―don't laugh―"Little Women."  I am the only girl in college who wasn't brought up on "Little Women."
(私は新しいルールをつくって絶対に破らない覚悟をしました。翌朝いくら筆記試験があっても、前の晩ぜったいに決して、決して〔なんとなく5月8日推敲〕勉強しないことです。そのかわりに、やさしい本を読みます。だって18年というブランクを埋めるためには、どうしても必要なんです。私の精神にどんなに深い無知の深淵ができているか、ダディーには話しても本当になさらないでしょう。その深さがようやく自分でもわかりだしました。親子兄弟がちゃんとそろって家庭と友人と蔵書にめぐまれた、たいていの女の子たちなら自然に吸収同化して知っているようなことで、私が聞いたことのないことがたくさんあります。たとえば――
  私は『マザーグース』や『デイヴィッド・コッパーフィールド』や『アイヴァンホー』や「シンデレラ」や「青髭」や『ロビンソン・クルーソー』や『ジェイン・エア』や『不思議の国のアリス』を読んだこともなければ、ラドヤード・キプリングは一語も読んだことがありません。私はヘンリー8世が何度も結婚したことや、シェリーが詩人だったということも知りませんでした。人間がもともと猿だったことも、エデンの園というのは美しい神話だということも知りませんでした。R. L. S. がロバート・ルイス・スティーヴンソンの略字だということも、ジョージ・エリオットが女の人だということも知りませんでした。『モナリザ』の絵を見たこともなければ、(信じないでしょうけれど)シャーロック・ホームズなんて聞いたこともありませんでした。
  いまは、こういうことはみんな知っていますし、そのほかいろいろなことを知っています。けれども、追いつくのにどれだけたいへんかおわかりだと思います。あー、でもそれはとても楽しいんです! 私は一日じゅう早く夕方にならないかと待ちわびて、それからドアに「仕事中」の札をかけ、すてきな赤い化粧着にきがえて室内履きをはき、寝椅子にありったけのクッションを重ねてよっかかり、ひじのところに真鍮の勉強用ランプをつけ、読んで読んで読みまくるのです。1冊の本では足りません。同時に4冊を読んでいます。いま、テニソンの詩集と『虚栄の市』とキプリングの『高原平話』と、あと――笑わないでください――『若草物語』を読んでいます。『若草物語』を読まないで育ったのは大学内で私ひとりのようです。)

   ここでの基準は、だから、英文科学生ではなくて、あくまでもフツウの女の子がフツウに吸収したもの――ということは、古典(とくに童話や、子供の頃に読まれるものと考えられていた児童文学的「古典」は)もあるかもしらんし、常識的な知識もあるかもしらんけれど、むしろ、流行とは言わずとも時代的なものと考えるのが自然なように考えられるのではないでしょうか。

  少なくとも、R. L. S. については、読んでいる/読んでいない、ではなくて、イニシャルが何を表わすか、という二義的な知識の話にとどまっています。

  それにしても、なにげに、いま並行して読んでいるのは、テニソンの詩集と(サッカレーの)『虚栄の市』とキプリングの『プレイン・テイルズ』と(オールコットの)『若草物語』〔これはもちろんイギリス小説『虚栄の市』と響きあうアメリカ小説〕です、と書いて、1年後のスティーヴンソン言及の際のテニソンからの詩の引用のヒントを与えておくところとかはオシャレな感じがします。


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