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ジュディーの年齢 (2) Judy's Age [Daddy-Long-Legs]

『あしながおじさん』のジュディーとおじさんの年齢の開きに、たとえば画家マリ・バシュキルツェフとジュール・バスチアン=ルパージュ Jules Batien-Lepage, 1848-1884 の、あるいはオフィーリアとハムレットの歳の差がダブっているものかどうか怪しんでいる今日この頃です。のつづき。のつづきです。のまたつづき。

  記事「デートと万年カレンダー――ジュディーの誕生日  Dates and the Perpetual Calendar: Judy's Birthday」で、ジュディーの誕生日が11月初旬であることを確認した上で、ふたたびジュディーの年齢について考えてみます。

8月29日の記事「ジュディーの年齢 Judy's Age」で引用した、「ブルーな水曜日」におけるリペット院長のコトバを考えてみます――

"Usually, as you know, the children are not kept after they are sixteen, but an exception was made in your case.  You had finished our school at fourteen, and having done so well in your studies―not always, I must say, in your conduct―it was determined to let you go on in the village high school.  Now you are finishing that, and of course the asylum cannot be responsible any longer for your support.  As it is, you have had two more years more than most." 
     Mrs. Lippett overlooked the fact that Jerusha had worked hard for her board during those two years [. . .].
  (p. 8: 強調付加)
(「ふつうはね、あなたも知ってるように、子供たちは16になったあとはここには置けないのですが、あなたの場合には特例だったのですよ。あなたはここの学校を14歳でおえて、なかなかがんばったからね、お勉強を――お行儀については必ずしもそうだったとは言えませんけれど――それで村のハイスクールにあげてやることに決定しました。で、いまあなたはそこをおえようとしています。もちろん孤児院はこれ以上あなたを援助する責任はありません。実際、あなたはたいていの子より2年間長くいたのだしね。」
  リペット夫人は、ジェルーシャがこの2年間、自分の食費のかわりに働いてきた事実を忘れていた・・・・・・。)

    冒頭の「ブルーな水曜日」の季節は冬だという感じがします。ジェルーシャが窓から眺める景色は「霜で凍った芝生 frozen lawn」 (p. 5) が伸びていますし、「裸の木々 bare trees」 (p. 6) が生えていますし、ジュディーが想像しようとするのは理事たちが「陽気な自分の家の炉辺へ to their own cheerful firesides」 (p. 6) 帰ってゆくさまです。

    リペット院長が言うように、いま村の高校をおえようとしているのですから、春先のまだ寒い時期なのではないか、と推測されます。

  4年生の3月5日の手紙において、翌日が3月最初の水曜日ということで、孤児院ジョン・グリアー・ホームを思い起こし、4年間を振り返るわけで、この冒頭の第一水曜日も3月であった、というのが、物語の構成的にはサイクルを描いて美しいと思われます。

   リペット院長がその後にあれこれ説明するなかで、「夏いっぱいまではここにとどまります You are to remain here through the summer」 (p. 9) というコトバがあります。ここから確認されるのは、大学入学はこの話のあった数ヶ月後の秋だということ(あたりまえですが、念のため)。

   そうすると、大学に入学した9月にジュディーはいくつだったのか?

   17歳。でも、それだと数があわないのです。

   リペットの最初の引用からわかるのは、16歳で追い出されずにプラス2年間を享受した、のだから18歳くらい。いま17歳で、夏前に高校を卒業し、大学に入学して11月に18歳になる、のでしょうか。

   でもそれだと3年生の11月の誕生日に21歳になることができません〔3年生の11月9日の手紙で、前の週に21になったと書かれています――"I was twenty-one last week" (p. 93) 〕。

   3年生からさかのぼって書けば、

   3年の11月に21歳→3年の10月は20歳→2年の11月に20歳→2年の10月は19歳→1年の11月に19歳→1年の10月は18歳。

   そうすると村の高校の最後の年の11月に18歳になってしまっていることになります。つまり「ブルーな水曜日」の時期(推定冬から春先)には18歳ですから、17年間の人生で云々みたいな作品冒頭の記述があわなくなる(再度引用します)――

Poor, eager, adventurous little Jerusha, in all her seventeen years, had never stepped inside an ordinary house; she could not picture the daily routine of those other human beings who carried on their lives undiscommoded by orphans. (p. 6: 強調付加)
(かわいそうな、ひたむきな、冒険心に富んだ小さなジェルーシャは、17年間の人生で、一度もふつうの家に足を踏み入れたことがなかった。孤児たちに悩まされない生活を送っている外の人々の日常生活を思い描くことなどできなかった。)

  満で18になっている人間について、17年の人生とは絶対言わないですよね。

  それでも、このときに18になっているほうが、大学との関係でも、リペットの説明とも、合致するのではないでしょうか。第一に11月生まれが事実だとすれば、大学に入る時点で18歳というのが妥当と思われます(一般に9月1日がアメリカの学校の入学年齢の境になるはずですが・・・・・・もちろん8月末から始まる学校もありますから差異はあるでしょうけれど)。第二に、リペットが、16歳で切れるはずのところをすでに 2年間余分に "you have had two more years" いると言っているのは、18歳数ヶ月――11月から数ヶ月――の時点でのコトバとしてのほうが17歳数ヶ月のコトバとしてよりは妥当性があるわけです。それと、14歳で学校を出て、それから村の高校に入って、1年生の11月に15歳、3年生の11月に18歳、そして、いま18歳だと計算あいますし。 う、あっていませんでした。やっぱり3年の11月に17歳ですか・・・・・・。

  17年の人生という部分はジュディーのエッセー「ブルーな水曜日」からの引用であるというフィクショナルな設定としてあって、そのあとトミー・ディロンが「リペット先生が呼んでるよ~♪」と歌う部分とのあいだに切れ目があるのでしょうか(これはなかなか無理のある仮説)。

  あと可能性として早い時点で考えたのは、「ブルーな水曜日」の出来事の時期が17歳の終わりごろ、たとえば10月末で、もう少しで18歳、という頃だったのではないか、という推定です。しかし、その推測は、第一にリペットのセリフ(いま高校をおえようとしている、など)と、季節の描写とのいささかのズレた感じ(でもニューヨークの田舎はすでに10月には霜が降りて木々も葉を落としてしまっているのでしょうか・・・・・・ニューヨークの秋)によって、ちょっと不自然な気がしています。あ゛ー、でもこれがアタリなのかもしれません。

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    上の赤字とともに追記。6-3-3ではなくて5-3-4制を考えます。Elementary School 小学校5年、Middle School 中学校3年で、14歳(秋に満年齢15歳になる年)で修了。村のHigh School は4年制で、ジュディーは14歳10ヶ月くらいで高校に入り、1年生の11月に15歳、2年生は15-16歳、3年生は16-17歳、4年生は17-18歳だった、というのが解決案です。


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さえとあすみ

「おじいさんの齢」から読み直させていただきました。
カランカラン音の鳴る私の脳では
一読では解らず^^;2周しました。
ただただmorichanさん凄い!と唸りながら^^
言葉は間違っているかもしれませんが
面白かったです。
by さえとあすみ (2009-09-04 22:19) 

morichanの父

さえとあすみさま
照れるようなコメントをどうもありがとうございます。嬉しかったです。
照れて返事が遅くなりました。
わかりやすくまとめて書くべきなのでしょうが、つい進行形で提出してしまっています。
by morichanの父 (2009-09-06 10:17) 

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