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マーサ・ワシントン・ホテル the Martha Washington Hotel (Hotel Martha Washington) [Daddy-Long-Legs]

marthawashingtonhotelwomen.jpg 
The Martha Washington Hotel, 29 E. 29th St. between Madison and Park Ave. South (1987) image via "14 to 42 - 29th Street" <http://www.14to42.net/29street2.html>

 

『あしながおじさん』の2年生の3月の末の手紙("March 24th/ maybe the 25th" と頭書きされているけれど、28日)で、4月にニューヨーク市にジュリアとサリーと一緒に買物と観劇に行くことを報告する文章で、ジュリアは市内の実家に泊まるけれど、サリーと自分は Martha Washington Hotel に宿泊するとジュディーは書いています。――

And lastly: Julia and Sallie and I are going to New York next Friday to do some spring shopping and stay all night and go to the theater the next day with "Master Jervie."  He invited us.  Julia is going to stay at home with her family, but Sallie and I are going to stop at the Martha Washington Hotel.  Did you ever hear of anything so exciting?  I've never been in a hotel in my life [. . .].  (Jean Webster, Daddy-Long-Legs [Elaine Schowalter, ed. with an Introduction and Notes, Penguin Books, 2004], p. 63)

   マーサ・ワシントン・ホテルは、1902年につくられた実在のホテルで、初の女性専用ホテルとして1903年3月2日に開業したようです。アメリカ合衆国初代大統領夫人 Martha Washington の名を冠した事情はよくわかりませんが、この名の旅館はヴァージニアとかにもあるみたい。初代大統領のファーストレディーということは、アメリカ最初のファーストレディー the first First Lady of the United States ということです。か。

File:Martha washington stamp.JPG
Martha Dandridge Custis Washington (June 2, 1731 – May 22, 1802)  1938 年発行の切手 image via Wikipedia

  WEB で画像を探すと、1911年の消印のある絵葉書が、ebay に現在出品されています。――

marthawashington(1911).jpg 
"Hotel Martha Washington E 29th St New York City NY 1911" by Moody Mommy's Marvelous Postcards Ebay Store <http://cgi.ebay.com/HOTEL-MARTHA-WASHINGTON-E-29TH-ST-NEW-YORK-CITY-NY-1911_W0QQitemZ390070700092QQcmdZViewItemQQimsxZ20090718?IMSfp=TL090718134006r29543>

   赤字で書かれた text を書き写してみます。――


HOTEL MARTHA WASHINGTON
29 EAST 29TH ST.
ONE BLOCK EAST OF FIFTH AVE.
NEW YORK

For women guests only.   Restaurant and Tea Room a la carte for men and women.  House Fire-Proof.  450 Rooms―$1.50 to $5.00 perday with or without baths.  Free baths on each floor for the use of guests.  European plan only.
SOUVENIR POST CARD CO., N. Y.   Phone, 6500 Madison      A. W. EAGER

   ホテル・マーサ・ワシントン
29丁目東29 
5番街より1ブロック東
女性客専用。アラカルトのレストランとティールームは男女共利用可。耐火建築。450室――一泊1.50ドルから5ドル。バス付き・バスなし。各階に宿泊客用のバスルームあり。ヨーロピアン・プランのみ。〔ヨーロッパ式というのは、室料のみで、食事代やサーヴィス料は別途ということです〕

  同じ 写真の絵葉書で、1907年の消印のものがニューヨーク・パブリック・ライブラリーにあります。――

marthawashington(1907).jpg
"Image ID: 836677 Hotel Martha Washington. (ca. 190-)" NYPL Digital Gallery <http://digitalgallery.nypl.org/nypldigital/dgkeysearchdetail.cfm?trg=1&strucID=1017061&imageID=836677&total=1&e=r>

   値段とか情報は同じで、ただ絵葉書屋が "Tha Platinachrome Co., NY" という違いみたい(結果、色が違います)。

  冒頭に掲げた写真を借りてきた Walter さんの "New York City Signs: 14th to 42nd Street" というページは、街の看板類を網羅しようというサイトなのですが、上の写真(レストランは男女ということが壁面に書かれています)は東側の四番街から撮られたものだそうです。絵葉書は西のマディソン・アヴェニュー側から撮られています。もう1枚同じ方向からの絵葉書(いつごろのものか不明)――

marthawash-post.jpg

  いつごろのものか不明ですが、料金的にはあがっており、さらにマジックやスタンプ(?)で訂正が加えられています。

Modern                             Fireproof
          MARTHA WASHINGTON HOTEL
                (For Women)
29 East 29th St.  NEW YORK CITY  30 East 30th St.

      Ideal for women and girls traveling alone.  Hostess and chaperon in attendance.  Rooms with running water  $1.50 per day up; with private bath $ 2. 00 per day up.  Attractive weekly rates.  Splendid restaurant for men and women.

         Rates now $2.50  per day up.

   個室にバスルームがある部屋は1日2ドル増し→現在は2.5ドル増し、という訂正です。

  こちらのハガキの情報には、ひとり旅の女性に理想的で、面倒をみてくれる女性たち(女主人――前の絵葉書の最後にあった A. W. Eager というのは 男でArthur W. Eager という所有者の名前のようですが――のほかに付添いの女性chaperon)がいることが書かれています。だからジュディーにも安心ホテルだったのでしょうね。あしながおじさんのハカライかもしれませんが。

  あー、1910年代の写真を見ると、なんとなく雰囲気がわかります。――

2163914098_9f905c09a9_o.jpg
(クリックで拡大)George Grantham Bain Collection, "Oregon girls in N.Y." Bain News Service, publisher [between 1910 and 1915] image via flickr, Uploaded on January 3, 2008
by The Library of Congress <http://www.flickr.com/photos/library_of_congress/2163914098/>

 

   それから、先の絵葉書の情報には週単位だとどうやら割引になるらしいことも挙げられていますが、ウィークリー値段というのは、1988年の広告に出ています・・・・・・料金は数百倍に跳ね上がってますけれど。――

 

marthawashington1988-NewYorkTimes_ad.jpg
image via "14 to 42 - 29th Street"

  このマーサ・ワシントン・ホテルはやがて、いわゆるレジデント・ホテルとして利用する滞在者が多くなり、2003年、すなわち創立100年後にホテルが Hotel Thirty Thirty に名前を変え、たぶん経営が変わったときに、長期滞在者(含おばあさんがた)とのあいだで一悶着あったようです――New York Times の記事 “New Landlord, Old Tenants, Hard Questions” (Feb. 27, 2000)――http://www.nytimes.com/2000/02/27/realestate/new-landlord-old-tenants-hard-questions.html?pagewanted=1 )。


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Teruko Asakura

私は1992年にここで8週間を過ごしました。当時は女性専用で、ほとんどが「住む」感覚で滞在しているようです。今、長期滞在地を求めている私は、ふとここならなと思い出しました。ただ、その後、女性のみというのは性差別だという声が上がり、普通のホテルになったと聞いていますが、本当かどうか知りません。
本当だったら、ちょっと考えるかも。あまり治安はよくないでしょう。
当時は、とにかく安ホテルで、エアコンなし、お風呂なし、窓の立てつけはガタガタ。私は経済上、簡単なコンロと、小さい冷蔵庫のついた部屋に入りましたが、こんな粗末な装置でも、ついているのはワンフロアーに4部屋だけ。
ただ、従業員はみな優しく、いつもニコニコ顔の私は愛されていました。従って、居心地は良かった。ボスはエドガーといい、いいおじさんでした。
2002年の再出発でどう変わったのか、それを確かめなければ行けませんが、生涯記憶に残る懐かしいホテルです。
by Teruko Asakura (2013-02-24 09:05) 

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